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第46回経営管理者講習会は、『世界の潮流』と題し、平成16年3月6日 (土)、7日(日)とセミナープラザ東中野で開催され、中国・台湾から講師を招聘し最新のアジア情報交流の場となった。
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本音で語るこれからのドライ溶剤 |
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三洋電機テクノクリーン(株)布施社長より環状シリコーン(グリーンアース)と石油系、大和化学工業(株)土井社長より365LIVE、(株)日栄石油小柳室長より石油系(N-10)、そして三菱重工業(株)竹内主任よりパーク、365mfc(ソルカン)、ベクセルクリン25(臭素系溶剤)、直鎖シリコーン、HFE7100、HFE S-7について現状を発表していただいた。
環状シリコーンは、安全性とグリーンアース社とのマスターライセンス契約により安価になった。365mfcにAK-225を加えた365LIVEはCFC-113とほぼ同様の性能で、比較的に規制を受けずに使用できる。N-10は、従来の石油系溶剤に比べ単価は高いが乾燥性が良く、VOC規制にも対応している。パークを主とした場合、ソルカン、ベクセルクリンは補完溶剤で、直鎖シリコーンは石油代替の環境対応溶剤であるとの考えなどが示された。クリーニング業界はドライで市場を形成してきたのであり、ドライ溶剤が規制の標的になる事無く末永く活用できるように業界が一丸となって対応して行きたいものだ。<岡崎義胤>
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これからのメニュー戦略 |
(株)ジャパン社長 寺前 栄蔵 |
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「不況でクリーニングも飽和状態になっている。この環境に対応するには多様化しかない」との思いから、付加価値商品と取扱商品のメニューを増やし、お客様の囲い込みを進めているとのこと。撥水加工の他、消臭、抗菌などなど。取扱商品に至っては剣道の面、ヘルメット、日傘、チャイルドシートなどなど「こんなものも洗えちゃう!!」のコピーで積極展開中。
さらにこれらをお客様にお勧めする店員教育も素晴らしいものだった。 2002年ベンチャービジネスフェアに選ばれた同社の「BT(凡事徹底)システム」を活用し接客力向上をシステム化している。接客力を(1)第一印象(2)正確性(3)迅速性(4)気配り(5)提案力(6)クレンリネスと定義し、それぞれの評価項目を作成、その評価を数値化して店員各個人を評価している。結果、福井のジャパン社のみならず、氏の指導先の会社も皆、業績堅調とのこと。
不況への対応は価格ではなく、「商品提案力」「接客力」である。大いに感ずるものがあった。<小泉希仁>
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中国業界と象王チェーン |
上海象王洗衣有限公司総経理 黄 進能 |
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現在最も発展している国中国、世界最後にして最大のビジネスマーケットとして注目されている。1998年に台湾から上海に進出し、わずか三年余りで中国全土に200数店舗を出店した象王の黄総経理の話には驚かされた。
フランチャイズシステムで標準化されたクリーニングプロセスを研究しマニュアル経営されていて、最近ではICカードを全国共通で使用出来るようにし、「汚れが落ちなかったら象王へ」というスローガンで今なお発展中だ。
最近の都心部ではファッション化が進み、質の高いクリーニング店が求められている。更にWTOに加盟した事で、2005年にはサービス業が、完全開放されることで世界各国のクリーニング業界の進出も予想され、市場における競争は益々厳しくなると思われる。 現在クリーニング店の数は二百数万店舗ということだが、ほとんどは小規模で、いずれ厳しい環境規制で大規模な淘汰が行われるだろうという。象王では、2007年には香港で上場の準備をしているとの事です。
圧倒される話だった。上海・張家界視察ツアーでは中国の勢いの現実を直接見てみたいものだ。<加藤潤一>
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台湾クリーニング産業の未来 |
台湾洗衣世界編集長 申屠光工学博士 |
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台湾のクリーニング業界は、1950年代に芽生え、日本からの技術や情報を導入しながら、高度成長、バブル崩壊とほぼ日本と同じ歩みを進めてきた。今世紀に入ってからは、極めて苦しい状況に直面している。クリーニング年間家計支出の平均は1991年の350USドルをピークに、下降を続け2002年には205USドルとなった。 今後5年のうちに、店舗数は約30%減少すると見られ、業界全体の大改革が必要となり、組合連合会では、数年前に組織を一新し、構造改革と新企画の推進に取り組んでいる。
最重要課題は、業界全体の技術力の向上と品質管理であり、このために昨年中華洗浄技術訓練センターを創設した。ここではクリーニング設備機器を設置し、実践と経営を学ぶ。5年後には5,000人のクリーニング技師を誕生させ、一定の技術水準の店舗には「金洗洗濯商標」というブランドを授与する。資材・機械に関しても、品質の検定制度を設け、業界の健全な発展を促す。また、クリーニング事故に対処する新たな事故鑑定方法及び連絡制度を確立するよう作業を進めている。
今後の課題としては、各分野における分業化、伝染病に対応する抗菌衛生技術の開発、海外ブランドとの技術提携、サービス技術管理ノーハウの海外輸出、法制的な品質管理を市場に形成し、産業の付加価値を向上させるといったことに挑戦していきたい。
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世界の業界潮流 |
品質情報研究所所長 住連木まさし |
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昨年のIDC神戸大会で、報告された内容には、クリーニング産業存続の危機感が色濃く現れていた。また、共通した打開策として、品質の向上と付加価値の追求が上げられている。 21世紀の社会においては、インターネットなど国境を越えた情報や技術の流通が日常的なものとなり、消費者意識の国際化も進んでいる。
環境問題においては、ドイツでかつて10,000店を超えるクリーニング施設があったものが、今日では2,000店台にまで落ち込み、まさに産業崩壊の危機に瀕しているといえる。ウェンツ氏の報告によれば、州政府などによって厳しい公害規制と設備転換が迫られており、カリフォルニア州では他溶剤への転換には助成金が提供されるということだ。ことに、ウェットはIFIなどの研究活動も盛んで、環境対応技術として注目されている。しかし、同じ水を溶剤とする家庭洗濯における洗剤や機械の技術革新も、クリーニング産業の存続に大きな圧力となってきた。
アメリカにおけるミルト&イーディの補修とクリーニングの融合による成功、イギリスにおけるジョンソンの難洗衣料への積極対応と受付のエキスパート化による高付加価値の追求など、従来の大工場多店舗志向、生産性追及の生産者発想から、顧客満足の探求という抜本的な改革が、世界のクリーニング業界共通の課題となっている。
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世界地図の切り取り方 |
ケンブリッジ・フォーキャスト・レポート 藤井 巌喜 |
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藤井講師の話は、世界地図を逆さまにして眺めるなどして、地政学的発想から世界の政治と経済を動かしている人々の「地図」を学ぶことにより、日本人の世界観を見直し、その考えでビジネスにも役立てようというものだ。
私は、今まで漠然と抱いていた考えが明確になる思いがした。それは「日本の未来像」そして「正しい保守主義の考え方」だ。今まさにイラク復興支援に自衛隊が派遣されている。どんなに平和を願っても願うだけでは平和の維持は出来ない。もし世界中から軍事力がなくなれば、人類には救いがたい混乱が待つだけだ。「自らの故郷を愛する国防の意識を高め、個人の競争と相互扶助による自由経済を守り、他の伝統文化を尊重し国際的に理解をしあう。」この事がやはり平和への一番の道だと思う。また、アメリカの言いなり外交は、そもそも日本に正しい軍隊がないからだ。自衛隊は軍隊だ。だから憲法論議をしなくてはならない。
経営者たるもの世界情勢を常に見聞きし、自分の意見を持たなくてはならないと思った。<山辺直樹>
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国内フェローシップ報告 |
(株)ニックの経営戦略を学ぶ 安久哲生 |
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オープン性が良く高級感が溢れているニックの店舗では、店 舗スタッフと社長とのダイレクトコミュニケーションによって、CSC(顧客満足の創造者)を目指してパートタイマーも参加する討議が十分になされています。マニュアルを固定化せず、常に最前線で情報交換しながら臨機応変に「ニックらしさとは何か?」が求められているのです。
幹部を中心とした知識、技術向上の場として、ニック大学というものがあり、ここでは西川会長や外部講師が教育にあたり、参加者は課題発表を行います。また、毎週幹部会議が開催され、売上確認、キャンペーンの成果確認、情報の共有化、問題点などの討議が行われる風通しの良い組織となっています。毎年開催される総会では、スタッフが一同に会し、社長による事業展開方針が発表され、会社がどの方向に進み、スタッフが何をすべきなのかが伝えられます。これをもとに現場レベルへ幹部会議や現場ミーテイング、プロジェクトチームの活動を通じ具現化されていきます。
ニックの経営は、1)流動的な市場に対する自社事業の検証と定義、2)定義に基づく事業目標の設定、3)具体化された目標実現のための戦略計画というプロセスによって推進されています。ここでは、判断力、指導力、戦略計画という仕事を体系的に組織化し、外部も含めた知識を導入することによって強化されているのだと感じられました。
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