第44回 リーダーの思いが未来を作る
平成14年3月2日(土)から4日(月)の3日間、虎ノ門パストラルにおいて第44回経営管理者講習会が開催された。「リーダーの思いが未来を作る <人づくり・物づくり・店づくり>」 のテーマのもと、多彩なプログラムで充実した成果をあげることができた。 第1日目は、異業種経営トップを招き、「面倒な事はあえて残す」日本ケンタッキーフライドチキン(株)特別顧問 大河原毅氏、「常識をくつがえすコンビニ経営」(株)CVSベイエリア社長 泉澤豊氏の講演。翌日は、「この不況にどう対応するか」(株)ニック会長 西川芳平氏、「組織が人を作り、人が組織を作る」(株)新幸社長 安久正夫氏、「社長にしか出来ない7つの仕事」(株)内藤マーケティング 内藤和美氏、「人づくり店づくり〈接客のボイント〉」トータルイメージコンサルタント 米谷侑子氏の講演と翌日予定される見学先紹介が行われ、最終日は、フルール赤坂駅前店、白洋舎溜池店、サンクス港一の橋店、サンクス港南麻布店の各店舗を見学して終了した。

面倒な事はあえて残す JKFC特別顧問  大河原 毅 氏

photo 大河原毅氏
大河原氏は、過去にマクドナルドショップでアルバイトし、藤田社長との出会いがあった。今でも藤田氏を師と仰ぐが、去年の決算でマックは減収減益となっても、JKFCは増収増益となり、今は胸を張ってお話できると語り始めた。
大日本印刷(株)に入社し、大阪万博でKFCの印刷を手がけたことが、大河原氏の運命を決定づけた。KFCのロイ・ウェスト氏と出会い「君の瞳に星がある」と口説かれ、昭和45年に名古屋に1号店を自ら店長として開店した。
JKFCの展開が100店舗になった当時、「マックが500店舗なら、KFCももっと作れ」とダイエーなどから言われた事があったが、JKFCは100店舗でいいと言い切った。出来る事しかしない。だから今日あるといえる。無理をしないこと、そして手を抜ない事が大切なのだ。規模の拡大よりも、素材である鶏、油、野菜の品質を追求し、輸入鶏肉ではなく国産ハーブ鶏にこだわり、カーネルサンダースの調理法を変えることなく守り続けた。現場を尊重し。現場が誇りに思うことをさせる。目先の利益を追っては経営を誤る。

マックの65円に対抗するには、敢えて手作り330円を強調してマックの隣に店を出した。安いものはマックというイメージと対比させた。これが成功し、特にデフレになってからの業績がより良くなってきている。成功のポイントは、基本的な事を執拗に継続すること。クレームはすぐにお客様のところに駆けつけて対応する。高いから売れないのではない。これからは「職人の時代」であり「地域特性」などの価値感を反映させる時代だ。メーカーと違い中国労働力との戦いの無い業種としての特性を考えるということなのだ。 (山辺直樹)

個性の明確化が成功のカギ 株式会社ニック 会長  西川 芳平 氏

photo 西川芳平氏
クリーニング需要は、平成4年をピークに下落が始まり、平成13年までの9年間に35.2%もダウンしてしまった。しかし、この間取次店は、13.3%と増加し続けており生き残りをかけた競争は激化している。これにともない安売り競争が激化している。だが、お客様は安さだけを求めているのではない。「本物志向」や「個性化」「感じの良さ」などの特徴を多様に求めてもいる。企業はこれらの特徴を生かし、差別化して棲み分けるべきである。平成12年の経済白書の前文には、「日本は、規格大量生産型工業社会のために作り上げられた多くの制度や慣習の変更を迫られていたのである」とある。つまり規格大量生産方式の集中工場が時代の流れから取り残されようとしている、と考えるべきではないか。世の中の流れは、多様化、ソフト化、情報化に向きを変えてしまったのである。このためには、良い人材を採用教育して、プロとして信頼されるクリーニング店にしなければならない。良い人材を集めることは、社長のリーダーシップの要である。良い人材が一生懸命働く会社は競争に強い。不況期こそ人材獲得のチャンスなのだ。 (西一彦)


発想の転換が必要な業務変革 株式会社CVSベイエリア 社長  泉澤 豊 氏

photo サンクス
下着クリーニングも受け付けるCVSサンクス
それぞれの業態の寿命は平均で30年くらいだと考えている。CVS (コンビニエンスストア) も誕生してほぼ30年を経過する。どのような業種であろうと、30年を周期に大きな革新が行われないと生き残れないのだ。
CVSの数は4〜5万店、売上の規模は約7兆円程度になってきた。ここまでの規模になるまでに、様々な業種を取り込んできた。この傾向は止まることはなく、むしろ加速度的に広がるかもしれない。わが社は従来のCVSの常識に反して、「個店対応」 に力を入れてきた。その地域に必要とされる商品の品揃えをした。こういったきめの細かい対応によって、CVS業界の平均日販を大きく上まるまで成長することができた。
CVSは家庭の台所から、まな板と包丁を無くそうとして調理済み食品を家庭に普及させようとしてきた。それと同様にわが社は、今、家庭 (特に独身世帯) から洗濯機を無くすべく、下着の洗濯システムを開発したのだ。
全て右肩下がりの世の中で、65歳以上の人口比だけが右肩上がりだ。2025年には人口の3分の1が65歳以上になる。老人世帯が600万世帯。ここに大きな需要がある。要は発想の転換が重要。皆さんの周りにビジネスのチャンスはまだいっぱいあるのだ。 (高林宏之)




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