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2010ダブリン大会タイトル
9月23日から26日の間、アイルランド共和国の首都ダブリンにおいて、世界9カ国約50人の参加者を集め、第51回国際クリーニング会議ダブリン大会が開催されました。日本からは、理事長夫妻を始め各国の中でも最多参加の19人が参加しました。

What’s the Textile Care?
クリーニング業とは何か?
 

ブリュッセル・グランプラス広場にて

 今回のIDCでは、各セッションでテキスタイルケア(TextileCare)という言葉が従来のドライクリーニングの産業イメージ改革のキーワードとして使われていたことが印象的で、各国のクリーニング産業が衰退する傾向にある中で、新たな希望の道を求めるという意欲的なセッションが展開されました。
 オープニングとして、英国王室御用達として知られるジーブスのレイ・ランバート氏による「高級クリーニングの成功」(Luxury Drycleaning)、日本の住連木政司氏による「テキスタイルケアへの産業転換」(Transforming the Industry to “Textile Care”)というテーマの基調講演から始まりました。
「事業成功への構築」を講演する五十嵐昌治氏

基調講演する住連木氏

 ランバート氏の講演では、セレブのための最高品質を追求するイメージを、より幅広い層に拡大するための戦略による多店舗化と外交営業によって、ここ数年二桁成長を続けているとの報告があり、点数減の現況に高級化で対応するという成功事例が示されました。

住連木氏は、繊維素材と家庭洗濯の歴史的な変遷をもとに、クリーニング産業自体が時代に対応する業態改革を求められているとし、技術情報集約型のテキスタイルケア産業と労働生産性集約型のクリーニング衛生業とが分離して消費社会に提供されることが、未来への姿であると述べました。
泉敏行氏の貢献に対しアワードが贈呈された

公開討論リーダーを務めた打越氏

 コーヒーブレークの後、日本の打越圭介氏をディスカッション・リーダーとして「新事業/新鋭設備」というテーマでオープンフォーラムが開催され、ここでは、日本ソルベイの小池輝美氏からソルカンドライの紹介などが行われました。
第二日目の午前中は、ダブリン郊外にあるクリーニング用ハンガーメーカーであるドーマー社の本社工場を訪問しました。ここでは、リサイクルハンガーの製造と回収リサイクルの工程を見学したほか、同社が独自に開発したウェットクリーニングのノーハウの紹介が行われました。
午後からのセッションでは、今回の議長マレー・シンプソン氏(英国)によって「プロフェッショナル・テキスタイルケア・イメージの推進」、メソッド・フォー・マネージメント社ダイアナ・ヴォルマー氏(米国)による「マネジメント戦術イメージの推進」、国際テキスタイルケア協会事務局長ピーター・ヴェネクス氏(オランダ)による「プロフェッショナル・テキスタイルケアを支援する『ファッションケア・コンセプト』の提唱」というテーマでの講演が行われました。同日の最後は、カナダのクリス・テブス氏をリーダーとして「溶剤の未来」に関する公開討論が行われました。

日本の状況を報告する竹内氏

 第三日目は、「世界のクリーニング業界の現状と傾向」と題してヴェネクス氏の講演が行われ、引き続いて参加各国の代表者から各国のクリーニング業界の現況について報告がなされました。
 IDC参加後、JCPCツアーは、打越氏のアレンジによるベルギー、オランダの業界視察を実施しました。
 特にベルギーのゲント市では、政府が指導するクリーニング関連新産業として「アイロニング・ショップ」を見学しました。アイロニング・ショップとは、洗浄を行わず(洗浄機の設置は禁止)、家庭洗濯されたもののアイロンサービスを行う店で、国が発行する7.5ユーロの小切手を消費者が購入し、これが48ポイントのサービスポイント(ワイシャツ1点8ポイント)となり、受け取った業者が政府に小切手を送ると20.8ユーロが支払われるという制度です。これは、国の雇用促進事業の一環として数年前から実施され、多くの消費者に歓迎されるとともに、約2万人の雇用創出を実現したということでした。


 
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